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牧師・漫画家・ミュージシャンの松本太郎のブログ


by qpqp1999

せんとー

 日本が世界に誇れる、伝統文化として銭湯があげられるだろう。テルマエ・ロマエでまたその存在感を新たにされたのも記憶に新しいが、残念なことに、この銭湯は最近では需要が減っていて、経営を中止せざるを得ない状況にあるのも事実だ。
 日本の銭湯のすごいところは番台があるところだ。番台は言わば、セクシュアルアイデンティティーや性志向という壁を打ち破って、そこに座る人は男であろうと女であろうと、若者であろうと、老人であろうと、その脱衣所にいる人々の裸体を無差別に客観視する立場にあるという、すごいシステムだ。そして、銭湯を利用する人はそのセクシュアルアイデンティティーや性志向に関係なく、その裸体を番台の人にさらさねばならないのだが、日本では基本的に番台にいる人はそういった、観念を破棄する状態にある人として認識されているのが面白い。
 古代ローマ帝国の浴場と違い、日本の銭湯の傑出したところは、利用者がより快適に湯につかれるように、壁がアートになっていることが、あげられるだろう。そうだ、たいていの場合は
富士山が描いてある
大抵の場合、その富士山の絵はどこかデッサンがくるっていて、色もなんか変なのが基本なのだが、それがなぜかいいのだ。
しかも、壁にかいてあって大抵の人は壁に背を向けて入浴するので、なんと湯につかっている人は基本的にその富士山のアートを堪能しながら入浴できないという、不思議な現象が起こっている。しかし、入ってくる時には、その美しい富士さんに彩られた風呂場に入るので
「ああ、自分は富士山のアートの元に入浴するのだ」と意識に刷り込まれるようになっている。そこで、今日みかけたのがこれだ
せんとー_b0130652_1933204.jpg

これは銭湯の内部ではない。松阪市の街の中にとけこんでいる、店舗ですらない、一個人の車庫のシャッターだ。信号待ちしている人の目を楽しませてくれるゴージャスなサービスだ。前述の通りで、やはり、どこかデッサンがくるっていて、どこか下手くそなのに、どういうわけか、心がなごむ。そして、銭湯のトラウマだろうか、巨大なガレージのシャッターに描かれているという点において、気分は銭湯になってしまうのだ。
やはり まうんとふじ ぐれいとだむー
by qpqp1999 | 2012-10-29 19:38 | 日本の習慣